これはシロップ剤投与器具として
Bec doux がどれくらいの性能を持ったものなのかを他の器具と比較・検討した発表で、その結果Bec doux が最も優れたシロップ剤投与器具だということが立証されました。
【目的】内用液剤は、乳幼児、高齢者、重症患者等への投与剤形として繁用されている。しかし、これら液剤の中には、服用時の正確な計量が難しい特有な色調・性状を持つものがあり、また正確に計量した場合でも液剤排出時の付着により、誤差を生じる危険性がある。現在、内用液剤の投与器具として、スポイト、薬杯、注射器等が用いられているが、スポイトと薬杯は液剤を正確に計量できるとはいえず、また注射器は正確に計量できるが、本来の使用目的とは異なることから、種々の問題が生じている。今回、正確かつ簡便な投与法として、新しく開発された内用液剤の投与器具であるベック・ドゥ使用時の計量誤差や付着量等の評価を、当院採用のスポイト、薬杯、注射器と比較・検討したので、その成績を報告する。
【方法】蒸留水と当院で採用している液剤のうち、色調・性状の異なる液剤(アルファロール液、オリブ油、ジゴシンエリキシル、単シロップ、デパケンシロップ、ファンギゾンシロップ、ポンタールシロップ、リンデロンシロッポプ)の0.5、1、2、3、5、10mlを、風袋重量測定後の各投与器具〔ベック・ドゥ(山一精工)、スポイト(エムアイケミカル)、薬杯(エムアイケミカル)、注射器(テルモ)〕で計量し、直示天秤(ザルトリウス1212MP)を用いて計量液剤重量、排出液剤重量、付着液剤重量を測定した。測定は各投与器具について無作為に選んだ5個を用い、それぞれについて5回ずつ行った。比重から求めた理論値から、計量率(%)、〔計量液剤重量/液剤重量理論値×100〕、排出液剤重量の変動係数CV(%)、ロス率(%)〔付着液剤重量/計量液剤重量〕を求めた。
【結果】測定重量における8種類の液剤の計量率は、ベック・ドゥ:96.4〜107%、スポイト:102〜135%、薬杯:98.4〜119%、注射器:100〜113%であった。また排出液剤重量の変動係数は、ベック・ドゥ:0.152〜2.33%、スポイト:0.856〜6.84%、薬杯:0.422〜6.57%、注射器:0.149〜1.83%であった。計量率及び排出液剤重量の変動係数は液剤の性状により、投与器具間で差が見られた。一方、液剤のロス率は、ベック・ドゥ:0.261〜5.45%、スポイト:0.496〜12.3%、薬杯:0.871〜12.2%、注射器:0.840〜8.67%であった。ロス率は、それぞれの投与器具において、測定容量が小さくなるに従って増大した。その場合、ロス率はスポイトと薬杯では液剤の性状に影響されたが、ベック・ドゥと注射器では影響されなかった。ベック・ドゥのロス率は、投与器具中最も低かった。
【考察】ベック・ドゥの計量率と排出液剤重量の変動係数は注射器と同等であり、ロス率は最も低いことが確認された。従って、このベック・ドゥを用いた液剤投与法は、正確に各種の液剤を計量し、投与できる有効な方法であることが明らかになった。さらに、ベック・ドゥは液剤を口内に直接注入できる形状を有しているため安全であり、口から液剤が漏れることなく衛生的に投与できる利点を有する。 |
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